働き方改革と就業規則その1.年次有給休暇の5日間
就業規則で改定すべき箇所
みなさんがお困りの部分はここですね。
巷では、労働基準法始まって以来、70年で初めて大改正だとか、懲役や罰金などの罰則が導入されたとか、様々な情報が広まっています。
そこで、普段は、まず開くことのない就業規則を引っ張り出してきて、ざっと流し読みをしてみることになるのですが、5分もしないうちに、「面倒くさい」という印象を持たれるのではないでしょうか。
前振りはともかく、年次有給休暇に関する条文をピンポイントで見てみましょう。
今回は特にみなさんの関心の高い年次有給休暇の5日付与についてです。
目次があれば、「年次有給休暇」と書いてある条文が第何条なのかを調べてください。
そこには、おそらくこのような条文が書かれているものと思われます。
現在の就業規則はこんな感じ!?
(年次有給休暇)
第●条 採用日から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、10日の年次有給休暇を与える。その後1年間継続勤務するごとに、当該1年間において所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、下の表のとおり勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。
勤続期間 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 |
6年6か月以上 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
2 前項の規定にかかわらず、週所定労働時間30時間未満であり、かつ、週所定労働日数が4日以下(週以外の期間によって所定労働日数を定める従業員については年間所定労働日数が216日以下)の従業員に対しては、労働基準法第39条第3項のとおり所定労働日数及び勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。
3 第1項又は第2項の年次有給休暇は、従業員があらかじめ請求する時季に取得させる。ただし、従業員が請求した時季に年次有給休暇を取得させることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に取得させることがある。
4 前項の規定にかかわらず、従業員代表との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。
5 第1項及び第2項の出勤率の算定に当たっては、下記の期間については出勤したものとして取り扱う。
① 年次有給休暇を取得した期間
② 産前産後の休業期間
③ 育児・介護休業法に基づく育児休業及び介護休業した期間
④ 業務上の負傷又は疾病により療養のために休業した期間
6 付与日から1年以内に取得しなかった年次有給休暇は、付与日から2年以内に限り繰り越して取得することができる。
7 前項について、繰り越された年次有給休暇とその後付与された年次有給休暇のいずれも取得できる場合には、繰り越された年次有給休暇から取得させる。
どこをどうすれば良いのか
簡単です。
第8項に以下の条文を加えてください。
8 第1項又は第2項の年次有給休暇が 10 日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定にかかわらず、付与日から1年以内に、当該労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、労働者が第3項又は第4項の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。
特に難しいところはございません。
事業主に義務として科せられているのは、5日間の付与です。
付与する際に、労働者の意見を聞いて尊重するというのは、努力義務です。
とはいえ、良好な労使関係を継続するためには、本人の考えを全く無視して会社側が有給を勝手に指定することは、あまりないのかとも思います。
有給の付与にあたっては、最低限のコミュニケーションを取ったうえで、指定しましょうということですね。
ほか、働き方改革とは関係ないのですが、年次有給休暇が「次年度に繰り越すことができる」などと「年度」で表記されていたり、一斉付与のルールで「取得は6ヶ月以上かつ、8割以上勤務」の文言が入っていない場合は、見直す必要があるかもしれませんので、注意しましょう。
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