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健康保険の被扶養者認定基準【2021年版】 

健康保険(社会保険)には、被保険者の収入で生活する家族を「被扶養者」とすることで、健康保険の給付が受けられる仕組みがあります。ただし、家族であれば誰でも加入できる者ではなく、一定の条件を満たさなくてはなりません。そこでこちらでは、健康保険における被扶養者認定の基準や、近年の法改正について解説します。 

なお、認定基準は健康保険によって異なる場合があります。以下はあくまで一般的な内容であり、詳しくは被保険者の勤務先にお問い合わせいただくようお願いいたします。 

被扶養者の認定基準について 

以下は、大まかな被扶養者の認定基準です。 

  1. 被扶養者が健康保険法で定められた「被扶養者の範囲である 
  1. 日本国内に住所(住民票)を有している 
  1. 後期高齢者ではない 
  1. 被保険者が被扶養者を扶養せざるを得ない理由がある 
  1. 被保険者が被扶養者を経済的に主として扶養する事実がある 
    (=被扶養者の生活費を主として負担している) 
  1. 被保険者が被扶養者を継続的に養う経済的扶養能力を持っている 
  1. 被扶養者の年収が被保険者の年収の1/2未満である 
  1. 継続的の収入が年間130万円未満(60歳以上又は59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満)である 

上記に当てはまらない場合被扶養者として認定されない可能性があります。いくつかのポイントを見ていきましょう。 

被扶養者の範囲とは? 

被扶養者の範囲を考える際のポイントは、被保険者と同居か否かです。それぞれのケースで見ていきましょう。 

同居が必要 

同居は不要 

・同居が不要な家族以外の三親等内の親族(義父母等) 

内縁の配偶者の父母、連れ子 

内縁の配偶者死亡後のその父母、連れ子 

配偶者(内縁を含む) 

子(養子を含む)・孫・兄弟姉妹 

父母(養父母を含む)等の直系尊属 

別居状態の被扶養者の範囲は狭く、本人から見た直径の祖父母・孫までが該当します。一方、同居することで、たとえば甥姪の配偶者なども被扶養者の範囲に入ります。 

なお、上記はあくまで原則であり、実際には健康保険組合によって個々の具体的な事情を踏まえた判断がなされます。 

扶養せざるを得ない理由とは? 

被扶養者に該当するのは、「配偶者」「18歳未満の子」「60歳以上の家族」が通常です。ここに該当しない家族を扶養に入れるためには、被保険者がなぜその家族を扶養しなくてはならないかの理由を申告しなくてはなりません。 

これは、18歳以上60歳未満の方は就労が可能な年齢であると判断されるためです。なぜ自立した生活ができないのか?」「どうして就労できないのか?といった理由を明確にしましょう。 

被扶養者になるための収入はいくらまで? 

就労中の家族に継続的な収入がある場合でも、一定の収入限度額を超えず、かつ被保険者の年収の1/2未満でれば被扶養者として認定されます。 

収入限度額は年齢によって異なります。 

被扶養者の年齢 

収入限度額 

月収目安 

59歳以下 

年収130万円未満 

108,334円未満 

60歳以上 ※ 

年収180万円未満 

150,000円未満 

※もしくは50歳以下の障害年金受給者 

なお、年間収入の算出は直近3ヵ月の収入によって見込み額が推測されます。このため、たとえ年収が収入限度額(130万円または180万円)であったとしても、申請日から遡った直近3ヵ月の月収が上記表の月収目安を超えている場合は、被扶養者として認められない可能性があるので注意が必要です。 

なお、年収の算出には交通費を含む給与だけでなく、賞与や各種年金収入、事業収入・雑収入、不動産収入、利子・配当収入、健康保険の傷病手当金、雇用保険の失業等給付なども含まれます。 

仕送りをしている場合は? 

別居する家族に継続的な仕送りをしている場合は、一部を除き、その家族の生活費を被保険者が主として負担している事実を証明する必要があります。たとえば、別居する親や兄弟・姉妹などです。 

実際には、金融機関からの毎月振込が確認でいる証明書(振込明細など)の提出などが求められます。手渡しやまとめての送金などは認められない可能性があります 

また、仕送り金額が被扶養者の収入以下で、かつ下限基準額以上の金額である必要があります。 

仕送り証明が不要な場合 

以下のようなケースでは、仕送り証明が不要となる場合があります。 

  • 子どもの進学による別居のケース 
  • 単身赴任および、3ヵ月以上の長期出張による別居 
  • 里帰り出産・介護での別居 
  • 長期入院や病気療養による別居 
  • 特例扱い施設介護老人福祉施設など)入所による別居 

上記の基準については健康保険ごとに基準が異なるため、事前に問い合わせをしておきましょう。 

【2020年4月1日〜】国内居住要件の追加 

健康保険法施行規則の改正が改定され、202041日から認定基準に「国内居住要件」が追加されました。従来にはなかった要件となるため、注意が必要です。 

なお、国内での居住は住民票によって判断されます。そのため、一定期間、被扶養者が海外へ出かけていたとしても、住民票が日本にあれば扶養認定がなされます。 

【例外】住民票が日本になくても認められるケース 

住民票が日本にない状態の家族であっても、以下のようなケースでは被扶養者として認められる場合があります。 

  • 海外留学している学生 
  • 海外赴任中の被保険者に同行している者 
  • 観光や保養、ボランティア活動など、就労以外の目的で一時的に海外へ渡航している者 
  • 被保険者が海外赴任中に当該被保険者と身分関係が生じた者 

上記のほか、渡航目的やそのほかの事情が考慮され、被扶養者として認められるケースもあります。 

いずれの場合も、特例要件を満たすためにはその証明書が必要です。たとえば海外留学をする学生であれば、学生証や入学証明書等の写し等です 

【例外】住民票が日本にあるが認められないケース 

日本に住民票がありながらも、例外として被扶養者と認められないケースもあります。 

  • 病院や診療所へ入院しており、医療を受けている者 
  • 上記の者の日常生活を世話するために渡航している者 
  • 1年を超えない期間、国内に滞在し、観光や保養などの活動をする者 

上記は、医療や観光といった目的で渡航している場合、その活動が終了した後は帰国する可能性が高いため、生活基盤が日本にあると言えない、という考えが基になっています。 

【2021年8月1日〜】被扶養者認定の基準明確化 

2021430日に通知された「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」にて、夫婦がともに健康保険へ加入している場合の子どもの扶養加入に関する基準が明確化されました。2021年8月1日からは、この基準を基に子どもの扶養加入が決められます。 

いくつかのケースごとに、以前の基準と比較していきます。 

夫婦がともに被用者保険へ加入しているケース 

協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康保険組合といった被用者保険に、夫婦ともに加入している場合です。従来の被扶養者認定基準は、以下のように定められていました。 

  • 前年分の年間収入が多いほうの被扶養者とする 
  • 夫婦双方の年間収入が同程度の場合は、主として生計を維持するほうの被扶養者とする 

上記のままだと基準が曖昧であるとされており、現在は基準が以下のように明確化されています。 

  • 過去・現時点・将来の収入等から、今後の収入を見込んだもの(年間収入)が多いほうの被扶養者とする 
  • 夫婦双方の年間収入の差額が、年間収入の多いほうの1割以内の場合は、主として生計を維持するほうの被扶養者とする 

「年間収入」と「同程度」という言葉が定義付けされ、判断がしやすく代わっています。 

一方の夫婦が国民健康保険に加入している場合 

片方の親が会社員で、もう片方が自営業といった場合です。前者は被用者保険、後者は国民健康保険に加入している状態になります。この場合、以下の基準に沿って「主として生計を維持している者」を認定します。 

  • 国民健康保険:直近の年間所得で見込んだ年間収入 
  • 被用者保険:過去・現時点・将来の収入等から、今後の収入を見込んだもの 

このように、国民健康保険の被保険者は、過去と将来は関係なく、あくまで直近の年間収入が基準となります。 

【特例】育児休業を取得した場合 

生計を主として維持する被保険者が育児休業を取得し、収入が減った場合であっても、被扶養者の異動を行わないという特例が設けられています。 

ただし、新たに生まれた子どもについては、再度認定手続きが必要です。そのため、状況次第では第一子が母親の扶養、第二子が父親の扶養になるというケースも考えられます。 

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