犯罪の本質を知る その3 空き巣は下見をしない⁉
泥棒って下見をするの?
よく聞かれるところですね。
正解を申し上げます。
泥棒10人いたら、その内7~8人は下見をしないでしょう。
そうです。
下見をする泥棒の方が圧倒的に少ないのです。
なぜでしょうか。
それは作業効率です。
多い泥棒で1日に10件以上の犯行に及びます。手あたり次第の者もいれば、入りやすい家屋があれば取りあえず侵入するという者が多いのです。
泥棒は何千万や何億円と言ったデカい山は狙っていません。
油断して数万円置いている家を探しているのです。
ここで、下見に関連する都市伝説をいくつか挙げてみましょう。
① 下見で留守の時間帯や曜日を把握している
無理です。
なぜなら、留守の時間帯の把握をするのに一日中その家を見ていなければなりませんし、曜日までとなると数週間を要します。
そんな怪しい人物は、すぐに通報されます。
お巡りさんも、怪しい人物に職質を始めれば簡単には放しません。
しかも、長い時間をかけて下見をし、その家に入ったところでお金は0かもしれません。
泥棒は、そのような効率の悪いことはしないのです。
② お金が置いてあることを知っていた
理論上不可能です。
身内の犯行ならともかく、見ず知らずの家にお金を置いていることや、給料日を把握することは不可能です。
給料が現金支給だったのは大昔の時代ですね。
また、①でも述べた効率の理由から特定の家に盗聴器を仕掛けることもありません。
もし、自宅で盗聴器を発見したら、それは泥棒の仕業ではありません。
身内か質の悪いストーカーの存在を疑いましょう。
③ そういえば、つい最近まで工事中だった
無理があります。
被害者の方から、よく聞かれます。
泥棒を捕まえると、被害者に報告します。
すると
「被害に遭う1週間くらい前まで、近所で工事をやっていたんです。やっぱり、犯人はそこで働いていた人ですか?」
と、結構な確率で聞かれます。
泥棒は一つの職業です。
建設現場で真面目に働いている人が、その仕事中に目をつけた家に後から泥棒に入ることは、私の経験上ありません。
絶対にないとは言えませんが、泥棒は出来心ではできません。
「出来心だったんです~」という名台詞も都市伝説ですね。
④ お金がありそうな家は狙われる
一概に言えません。
なぜなら、お金があるかどうかは入ってみなければ分からないのです。
もちろん、豪邸ばかりを狙う泥棒も中にはいます。
ですが稀です。
ほとんどの泥棒が、ごく普通の一戸建てやアパート、マンションを狙います。
「やっぱり、あの家は入られたか。」とは必ずしもなりませんので、豪邸だからと言って必ずしも危険な訳ではありません。
⑤ 表札や郵便受けに意味不明の記号が書かれていた
泥棒の仕業ではありません。
「泥棒は下見の際に表札や郵便受けなど玄関周りに小さな記号をマジックなどで書き、その家の情報をメモしているので、見つけたら消しましょう」のような記事(某警備会社の記事にもありました)を見かけたことはないでしょうか。
これ、嘘です。
このいたずら書きの正体は、一部の訪問販売員や新聞勧誘員です。彼らのセールスの参考にするためのメモなのです。
実際、元新聞勧誘員の泥棒から聞いた話ですので、間違いないです。
(あれ、では泥棒に近い人物が書いたと言えたりするw)
Web上では、このようなデマがまことしやかに公開されていることがしばしばです。
泥棒が書いた記事ではありませんし、ライターに泥棒の知り合いがいるとは思いませんので、Web上の情報は出所をしっかり確認しましょう。
泥棒が表札などにメモをしない理由は①に同じです。
怪しまれるリスクを冒してまで、そのような非効率的なことはしないというわけです。
下見をする場合とは
では、あとの2~3人はなぜ下見をするのでしょう。
これも、その理由をいくつか例を挙げて説明します。
① 共犯者がいる
複数のグループで犯行を行う場合、複数人で住宅街などを物色すると目立ちます。
それに、複数になると上下関係ができたりしますので、上の人間は楽をしたいがために、下の人間に目ぼしい家などを普段から探させておくという訳です。
② 窓の無施錠ばかりを狙う泥棒
こういった泥棒も下見をする傾向にあります。
行き当たりばったりで一日中でも無施錠の窓を探し続ける泥棒もいますが、結構大変です。
無施錠窓と言うのは、そこの家人の習慣である可能性が高いのです。
つまり、普段、窓の鍵をかけていない人は、いつ行っても鍵を掛けていないことが多いのです。
全ての窓ではなく、トイレや風呂の窓だけといった、ある特定の窓に限ってだと、ごく普通にあり得ます。
思い当たる方は気を付けましょう。
下見でチェックされているかもです。
③ 外国人窃盗団
最近は、ほとんど見かけなくなりましたが、外国人窃盗団は下見をすることが多いです。
その理由として、土地勘がないことが挙げられます。
知らない土地で、逮捕される危険性のある泥棒をするわけですから、自然と下見をすることになります。
それに、人数を募って、いついつ泥棒やるから、どこそこに集合という体制を組んだうえで始めることが多いので、一日中探して泥棒のターゲットとなる家が見つからなかったでは話になりません。
国によっては、全財産を処分し、親戚中からお金を借りて密入国までして日本にやって来て泥棒をする者までいますから必死です。
因みに、こういった連中は遭遇すると身の危険を伴うこともありますので、要注意です。
お分かりいただけたでしょうか。
下見をする泥棒は意外と少ないのです。
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