犯罪の本質を知る その2 泥棒は割に合うか
泥棒は割に合うのか
さて、なぜ、泥棒をする人がいるのでしょう。
人それぞれですが、その原因について少し例を挙げてみましょう。
①酒
②ギャンブル
③女性
④幼いころからの習慣
⑤人生の壁
⑥性癖
理由は人それぞれですが、人生初の泥棒に手を出す瞬間というのは、通常の精神状態にないことが多いですね。
④と⑥以外については、ありふれた理由です。
泥棒人生を選択するという可能性は、0ではないないということなのです。
さて、一度泥棒が成功してしまうと、その事実を振り返ってみれば、
①5分で10万を手にできる泥棒
②1か月馬車馬のように働いて手取35万の真っ当な仕事
どちらが良いのでしょう。
皆さんは、もちろん②ですよね。
泥棒は、必ず捕まります。日本人が日本国内でその稼業を続けている限り、ほぼ100%捕まると考えてよろしいでしょう。
それは、歴代の大泥棒として名を馳せた?先輩方の実績が物語っています。
もっとも、そのような実績は公になっていませんが・・・。
窃盗常習者Aさんの人生を見てみましょう
ある日、Aさんが3年の刑期を終え、出所したとします。
Aさんは、住所もなく、携帯電話も持っていないので、就職活動もできません。
もし、あなたが面接官だったら、「住居不定です。」「携帯電話持ってません。」という方を採用するでしょうか。
何せ、面接の合否の連絡という段階から躓いてしまう方ですから。
さぁ、Aさん。仕方なく、パチンコで食いつなごうと、開店と同時にパチンコ店へ。
夜はサウナで寝泊まり。
ですが、懲役で得られた作業報奨金もわずかですから、1週間で使い果たし、早速お金に困ります。
寒空の下、今夜、その寒さをしのぐお金がないんです。
で、「やっぱり空き巣でもやるか」となります。
何せ、100円ショップでマイナスドライバーと軍手を購入しさえすれば、始められる稼業です。
これほど初期投資の少ない稼業(?)もそうはありません。
加えて、親、兄弟も絶縁状態。
離婚した妻子も今はどこにいるかも分かりません。
天涯孤独、自分を知る者もいません。
従って、どこで自分が何をしようとも、迷惑が掛かる人間がいないのです。
更には、これまでの人生を泥棒で築いてきていますから。
もう、迷いはありません。
Aさんは、週に3~4日は泥棒をするタイプで、半年で余罪件数は約100件。
それで得た現金合計850万。
貴金属等は時価合計2,000万円。
貴金属については、売却分が現金換算約150万円でした。
しめて総額約1,000万円をわずか半年で手にしたわけですが、出所後6か月で逮捕され、刑務所へ逆戻り。
今度の刑期は3年6か月です。
さて、ここでみんなで考えましょう
Aさんは6か月で1,000万円を稼いだかのように見えます。
しかし、実際はちょっと違います。
確かにAさんは、6か月で1,000万円を使うことになりますが、その後の3年6か月間は、自由なお金は使えません。
一方で、この間、真面目に働いていたごく普通のサラリーマンであるBさんは年収500万円。
Bさんが働いて稼ぐ金額は4年で2,000万円。
週末は家族で過ごしたり、趣味に使ったり、年に1回旅行したり。
毎月の住宅ローンも総額の約3分の2の支払が終わっています。
仕事は充実、家族も仲良し。責任を果たし、自由を謳歌しています。
老後についても不安は0ではありませんが計画されています。
もう一度Aさんに戻ります。
Aさんは、娑婆(塀の外)で泥棒稼業をしていた期間に1,000万円稼ぎ、その後の3年6か月間は塀の中。
そう、4年間でAさんが得たものは・・・。
年収に換算すると1年当たり250万円の稼ぎと塀の中のペナルティ。
しかも、そのペナルティは、住居不定無職で再び塀の外へという如何ともしがたいハンディがもれなく付いてきます。
AさんとBさん。どちらの人生をあなたは選びたいですか?
・・・愚問ですね。
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