人材開発支援助成金
1,どんな助成金?
人材開発支援助成金とは会社が雇用する従業員に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、講師謝金や受講料等の訓練経費のほか、訓練受講労働者に係る訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。つまり会社のお金で従業員に対し、資格取得のための専門学校に通わせたり、知識・技術向上のための講習を受けさせたりすると助成金が支給されることになります。人材育成を行う事業主を支援する助成金となります。
〜例えばこんな訓練(講習)が対象に!
- 介護福祉職員に対して「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」
- 建築関連で働く方に対して「CAD」「施工管理技士」その他専門的な訓練
- 電気工事業で働く方に対して「第二種電気工事士研修」その他専門的な訓練
- IT系で働く方に対して「WEBプログラミング」「WEBデザイン」その他専門的な訓練
その他「大型自動車免許」や管理者(マネージャー)に対しての「マネジメント研修」なども対象になります。
※訓練内容、訓練方法、訓練時間、対象者など詳細な要件があります。
2,主な訓練コース
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特定訓練コース(正社員向け)
若年者に対する訓練、労働生産性の向上に資する訓練など、効果が高い10時間以上の特定の訓練や、OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせた訓練として認定を受けた場合に助成するコース
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一般訓練コース(正社員向け)
職務に関連した知識・技能を習得させるための20時間以上のOFF-JT訓練を行った場合(特定訓練コース以外)に助成するコース
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特別育成訓練コース(パートやアルバイトなどの非正規労働者向け)
正社員経験の少ないパートやアルバイトなどの有期契約労働者等の正社員転換又は処遇改善を目的として、訓練を行った場合に助成するコース
4,助成金金額→AのP-22~23、BのP-7
助成額は訓練経費に対してと、従業員の賃金(訓練時間中)に対して支給されます。
① 特定訓練コース(正社員向け)
例:35歳未満で入社5年未満、中小企業の場合
経費助成…訓練費用の45%(生産性要件を満たす場合60%)※上限金額有
賃金助成…1時間当たり760円(生産性要件を満たす場合1時間当たり960円)
例えば、訓練費用が20万円、訓練時間が50時間の場合→助成金金額は12万8000円
※経費助成90,000円(20万円×45%)+賃金助成38,000円(760円×50時間)
生産性要件を満たした場合の助成金金額は16万8000円
※経費助成120,000円(20万円×60%)+賃金助成48,000円(960円×50時間)
② 一般訓練コース(正社員向け)特定訓練以外の場合
経費助成…訓練費用の30%(生産性要件を満たす場合45%)※上限金額有
賃金助成…1時間当たり380円(生産性要件を満たす場合1時間当たり480円)
特別育成訓練コース(パートやアルバイトなど非正規職員向け)中小企業の場合
経費助成…訓練費用の全額(ただし訓練時間数によって上限有)
賃金助成…1時間当たり760円(生産性要件を満たす場合1時間当たり960円)
5,対象となる労働者の主な要件→AのP-17、BのP-20
- 雇用保険被保険者であること
- 計画訓練時間の8割以上受講していること
※8割以上受講していれば退職(自己都合)していても対象になる可能性があり
- 職務と関連した訓練を行う労働者であること
※電気工事の事業を行っている会社で経理の仕事をしている労働者が電気工事の訓練を受講しても対象となりません。
6,対象となる事業主の主な要件
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 計画届の提出日の6カ月前から支給申請の提出日まで事業主都合の解雇等がないこと
- 訓練中も通常の賃金を支払っていること
- 過去5年以内に助成金の不正受給をしていないこと
- 労働保険料の未納がないこと
- 労働関係法令の違反がないこと
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業、暴力団関係事業所の事業主等でないこと
- 職業能力開発推進者を選任していること(特定訓練コース、一般訓練コース)→AのP-2
- 事業内職業能力開発計画を作成・周知していること(特定訓練コース、一般訓練コース) →AのP-2
7,申請の流れ→AのP-25、BのP-7
①訓練開始の1カ月前までには労働局に計画届を提出
※訓練によっては2カ月前
②計画どおりに訓練を実施
※訓練場所、訓練日時などが計画と変更になる場合は事前に変更届を労働局に提出(原則)
③訓練終了後2カ月以内に支給申請書類一式を労働局に提出
④労働局にて審査
※労働局からの指摘に応じて追加書類の提出等あり
⑤助成金の支給決定、及び助成金の入金
8,注意事項
賃金助成の対象となる賃金は訓練期間中の所定労働時間内の賃金についてのみ対象となります(所定労働時間外・所定休日に実施した訓練は賃金助成の対象外)。その他、訓練内容、訓練方法、訓練時間、職務との関連性、対象となる労働者等、細かい要件があります。
また助成金は年度ごとで要件や制度が変更になりますが、最近は年度の途中でも要件や内容、申請書式が変更になる場合があります。常に最新の情報を把握しておく必要があります。