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固定残業制の導入について

就業時刻

未払い残業

残業代とは

未払い残業とは、実質、所定労働時間を過ぎて労働させているのにもかかわらず、その労働の対価としての賃金を支払っていないことをいいますが、残業代とは、どのように計算するのでしょうか。

順番に説明いたしましょう。

所定労働時間は始業時刻から終業時刻までの時間で、休憩時間を引いたものをいいます。

9時~17時ならば7時間

9時~18時ならば8時間

ですね。

定時を過ぎますと、1分単位で賃金を計算して残業代を支払う義務があります。

では、未払いの残業代とは、いったいいくらになるのでしょうか。

定時が9時~18時、休憩時間が12時~13時の会社を例に挙げて計算してみます。

条件は

① 平均退社時間を20時

② 基本給は30万円

③ 年間休日は120日(土、日、祝日休み)

とします。

そうしますと、1日の平均残業時間は2時間ですね。

以下が計算方法です。

1時間当たりの賃金(時給)=基本給÷1ヵ月の平均所定労働時間

=30万円÷(365日ー120日)×8時間÷12か月≒1837円

この方の時間給は1837円であることが分かりました。

さらに、1日8時間の法定労働時間を超えた場合は、25%の割増賃金を支払う必要がありますから、

1837円×1.25≒2296円

です。

1ヵ月の残業代は

2296円×2時間×21日=9万6,432円

となります。

この9万6,432円が1ヵ月の残業代ということになるのです。

未払い残業代の請求

最近、世間を騒がせている未払い残業の請求ですが、会社が請求された場合、いくらになるのでしょうか。

先程の例では、1ヵ月の残業代は9万6,432円でしたね。

賃金債権の時効は2年間です。

請求されますと、2年遡ることになりますから

9万6,432円×24ヵ月=231万4,368円

です。

訴訟となりますと、これに同額の付加金や、未払い残業に対する遅延損害金も発生する可能性がありますから、かなりの高額になることが分かります。

固定残業制

これまで、お読みいただいた方には、未払い残業のリスクがどのようなものかをお分かりいただけたかと思います。

ちなみに営業手当は、それだけでは残業代とはみなされない可能性が非常に高いので、注意が必要です。

では、固定残業制とは、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。

① 給与が基本給と残業代とで明確に分けられていること

② その手当が何時間分の残業代なのかが就業規則や雇用契約書に明記され ていること

③ 手当を超える残業時間があった場合は、実労働時間に応じて、差額の残 業代を支払うこと

の3点が少なくとも必要です。

また、仮に25時間分の固定残業代を支払うこととした場合、実際の残業時間がそれを下回っても、25時間分の残業代を支払うことが必要なことに注意しましょう。

固定残業制導入時の注意点

固定残業代の導入は、従業員からの理解を得る必要があるため、難易度は決して低くありません。

その理由は、固定残業制の導入自体が不利益変更に該当する可能性があるからです。

終業規則などの労働条件の不利益変更が認められるためには

① 労働者の受ける不利益の程度

② 労働条件の変更の必要性

③ 変更後の就業規則の内容の相当性

④ 労働組合等との交渉の状況その他就業規則の変更に係る事情に照らして 合理的なものであること

という条件をクリアする必要があり、更に、変更後の就業規則等の労働条件を労働条件に周知させることが不可欠です。

終業規則の変更時には、従業員への説明会等を開催し、個別に労働契約を新たに交わし、条件の詳細について、合意を得る必要があるでしょう。